増築のときに建物同士をつないではいけない理由と、エキスパンションジョイントという解決策
「増築して部屋を広げたい」というご相談をいただく際、よく驚かれるのが「既存の建物と新しい建物の構造を直接つないではいけない」というルールです。今回は、その理由と、2棟を一体に見せるための「エキスパンションジョイント」という手法についてご説明します。
なぜ構造を直接つないではいけないのか
ひと昔前の増築では、既存の建物と増築する部分の構造を繋いでいることも多くあったと思います。
しかし現在のルールは違います。
建物は風、温度変化などによって常にわずかに揺れています。
問題なのは建物によって揺れ方が異なるということ。地震などではその揺れがさらに大きくなります。
既存の建物と増築部分はそれぞれ構造的な特性(重さ・剛性・基礎の形式など)が異なるため、2棟を剛に(固く)つないでしまうと、揺れ方の違いが接合部に集中し、ひび割れや破損が生じやすくなります。

また、建築基準法の観点からも重要なポイントがあります。2棟を構造的に一体化した場合、建築確認申請上は「1棟の建物」として扱われます。すると、建物全体を現行の耐震基準で審査し直す必要が生じ、既存棟に大規模な耐震補強が必要になるケースもあります。
こうした理由から、増築では原則として既存棟と増築棟の構造体を切り離した状態で設計することが一般的です。

でも、見た目は一体にしたい
「構造を切り離すといっても、隙間があいたままでは困る」と思われるかもしれません。雨が吹き込んだり、室内から隙間が見えたりするのは避けたいですよね。
そこで登場するのが「エキスパンションジョイント(EXPジョイント)」という建築部材です。
エキスパンションジョイントとは
エキスパンションジョイントとは、構造的に切り離された2つの建物の間に取り付ける「動きを吸収するカバー部材」です。外壁・屋根・床・天井など、あらゆる部位に対応した製品があります。
地震や温度変化で2棟がそれぞれ動いても、このジョイント部材が伸び縮みしながら動きを吸収するため、防水性と気密性を保ちつつ、見た目上は1棟の建物として仕上げることができます。
- 構造は独立 2棟はそれぞれ独立した基礎・躯体を持ち、地震時にも干渉しない
- 見た目は一体 ジョイント部材が隙間を覆い、外壁・屋根・室内を連続して仕上げられる
- 防水・気密を確保 動きを吸収しながら雨水や外気の侵入を防ぐ専用設計
増築計画で大切なこと
エキスパンションジョイントは便利な部材ですが、適切に機能させるためには設計段階から「2棟の間に何センチの隙間を確保するか」「どの部位にどの製品を使うか」を慎重に計画する必要があります。後から取り付けを検討するのではなく、増築の設計初期から盛り込むことが重要です。
また、増築には建築確認申請が必要な場合があります。既存建物の図面や検査済証の有無なども確認のうえ、早めにご相談いただくことをおすすめします。
まとめ
増築で2棟の構造を直接つながないのは、地震への安全性と法規上の理由からです。エキスパンションジョイントを使えば、構造を独立させたまま見た目や防水を一体に仕上げることができます。「増築したいけど、どうすればいいかわからない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
