パントリーは何畳が正解?種類・位置・棚の奥行きの決め方
新米10kgの袋、さつまいも、秋のお取り寄せ。この季節は食品の買い置きが一気に増えます。キッチンの収納だけでは足りず、米袋がキッチンの隅に、飲料の箱がダイニングの壁際に、という具合にあちこちに置きっぱなしになっている家も珍しくありません。
そこで検討されるのがパントリーです。ただ「あれば便利」で作ると、広すぎて持て余したり、棚の奥行が深すぎて何が入っているのか分からなくなったりします。
大事なのは、何をどれだけ置くかから逆算すること。順番に整理していきます。
パントリーとは
パントリーは、食品や飲料、日用品のストックをしまっておく収納スペースです。もともとは英語で「食料貯蔵室」を指す言葉で、日本の住宅ではキッチンの近くに設ける収納をそう呼ぶようになりました。
食器棚(カップボード)との違いは、置くものの性質にあります。食器棚は毎日出し入れする物の置き場。パントリーは、買い置きやかさばる物の置き場です。
置くものの例を挙げてみます。
- 米、乾麺、缶詰、レトルト食品
- ペットボトルや箱買いの飲料
- 洗剤、ティッシュ、ゴミ袋などの日用品
- ホットプレート、土鍋、ミキサーなど出番の少ない調理家電
- 防災用の備蓄食料
「すぐに消費しきらないもの」「重くてかさばる物をまとめて」しまう場所だと考えると、設計の勘所が見えてきます。
パントリーのタイプは3つ
ウォークインタイプ
人が中に入れる小部屋型のパントリーです。出入口は1か所。棚を壁沿いに巡らせるので収納量はいちばん多くなります。
向いているのはまとめ買いが多い家庭や、調理家電を含めて収納を一か所に集めたい家庭です。冷蔵庫を置くパターンもあります。一方で、通路の分だけ床面積を取られます。収納量に対して面積効率が良いとは言えないので、広さとの決め方が重要になります。
ウォークスルータイプ
出入口が2か所あり、通り抜けられるタイプです。たとえば「玄関→パントリー→キッチン」とつなげば、買い物から帰ってそのままストックを棚に入れ、キッチンへ入れます。
動線の短縮という点では最強です。ただし、出入口が増える分だけ棚を設置できる壁が減ります。同じ広さのウォークインと比べると収納量は少なめです。動線を優先したい方におすすめ。
壁面(棚)タイプ
キッチンの壁面に扉付きの棚や可動棚を設けるタイプです。部屋にはしないので、必要な面積は小さく済みます。間口90〜180cm程度でも成立します。
収納量は限られますが、手を伸ばせば届く範囲に全部ある気楽さがあります。2〜3人暮らしで、ストックは冷蔵庫と食器棚まわりで完結する家ならこれで十分なことも多いです。
パントリーを作る位置
キッチンとの距離は近いほうがいい
毎日使うわけではないとはいえ、料理中に取りに行く物が多い場所です。キッチンから数歩で行ける位置が基本。冷蔵庫の近くに置くと、買い物の荷解きがラクになります。
玄関や勝手口との関係を見る
重い荷物を運ぶ距離は短いほうが助かります。玄関から直接入れる位置や、勝手口の近くは人気の配置です。ゴミ出しの動線ともまとめられます。
温度と湿気は軽く見ない
食品を置く以上、暑さと湿気は避けたい。西日が当たる壁側や、外壁に面して夏に熱がこもりやすい配置は注意が必要です。窓を付けるかどうかも悩みどころで、採光は取れても、直射日光が食品に当たります。小窓を高い位置に付けるか、窓なしで換気扇を設けるか。個人的にはパントリーに窓は必要ないと考えています。
パントリーの広さの目安
目安は次の通りです。モジュールは尺(910mm)を基準にしています。
| 広さ | 寸法の目安 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 0.5畳 | 約0.9m×0.9m | 片側に棚。日用品と食品の最低限のストック |
| 1畳 | 約0.9m×1.8m | 片側と奥の2面に棚。2〜4人家族の標準的な買い置き |
| 2畳 | 約1.8m×1.8m | 両側に棚を置いても通路が確保できる。調理家電や備蓄も入る |
1畳で気をつけたいのは通路幅です。奥行30cmの棚を片側に置けば、通路は約48cm確保できます。体を横にしなくても入れる、ぎりぎりのラインです。
2畳なら両側に棚を置いても通路が取れ、2人で同時に入ることもできます。3畳以上はほとんどの家庭で持て余してしまうと思います。広くなるほど奥にしまった物の存在を忘れて賞味期限切れを出しがちです。
面積が足りなくても天井近くまで棚を設ければ収納量は稼げます。

棚のサイズで使い勝手が決まる
奥行きは30cmが基本
パントリーでいちばん失敗が多いのが、棚の奥行きです。
食品は、奥行き30cm前後で十分に収まります。缶詰や調味料のボトルなら、手前から奥まで一目で見渡せます。
奥行き45cmの棚は、箱ティッシュやペーパー類、ケース買いの飲料など、大きな物のために設けるのが基本です。食品を45cmの棚に並べると奥の物が見えにくくなります。手前の物をどけないと取れないので、結局使わないまま期限が切れる——パントリーの失敗談としてよく聞くパターンです。
60cmを超える奥行きは、あまりおすすめしません。
高さと段数
重い物は下段に置くのが鉄則です。米や飲料のケースは床から低い位置に。軽い物は上段へ。
日常的に手が届くのは床から180cm程度までが目安です。それより高い段は、踏み台を使う前提の「年に数回しか出さない物」の置き場にします。
棚板は可動式を選んでください。ストックの中身は、家族構成や暮らしの変化で入れ替わります。
耐荷重を事前に確認する
缶詰や瓶を並べると、棚板1枚でもかなりの重量になります。棚板の厚みと、棚を支える金物の強度、そして壁側の下地の有無が、後から変更しづらいポイントです。新築のうちに、棚をつける位置に下地を入れておくと安心です。
あわせて決めておきたいこと
- コンセント:冷蔵庫を置くなら必須です。炊飯器や電気ケトルを置くつもりなら、位置と数も決めておきます。
- 照明:奥まで見渡せる明るさを確保します。人感センサー式なら、スイッチの消し忘れもありません。
- 扉の形:開き戸は開閉のスペースを取ります。引き戸、ロールスクリーン、扉なしも選択肢です。扉なしは出入りが最も楽で、のれんを取り付けているご家庭をよく見かけます。
- 床材:食品の粉や汁がこぼれることを想定して、掃除しやすい素材にします。
パントリーは「何をどれだけ置くか」を最初に書き出した人ほど失敗しません。置きたい物をリストアップして、その量から広さを逆算する。迷ったら広さを欲張るより、奥行き30cmの棚を壁面にたっぷり設ける方を私はおすすめします。
