AIで住宅会社を選ぶ聞き方のコツ |「おすすめは?」の前に伝えること
「奈良市周辺で、おすすめの工務店を教えて」
AIにこう打ち込むと、数秒でそれらしい答えが返ってきます。
会社名がいくつか並び、「高気密・高断熱に力を入れている」「デザイン性が高い」といった説明が添えられることが多いです。
便利ですね。ただ、この答えを見て候補を絞るのは、少し待ってください。
先程のように質問が短いと、AIはこちらの条件を知りません。予算も、家族構成も、気密や耐震にどこまでこだわるのかも分からないまま、無難な答えを返しています。
AIが聞き方で答えの質が変わるのは、よく利用されている方なら実感されているはずです。
「おすすめは?」の答えは、何を材料にしているのか
生成AIは、ウェブ上に公開されている文章を材料に答えを組み立てます。検索機能つきのAIなら検索結果、そうでなければ学習済みの文章が元になります。
SUUMOなどの大手住宅ポータルサイトに掲載されている会社、公式サイトのブログが充実している会社、InstagramやYouTubeで発信を続けている会社。こうした会社は文字情報が多く、AIが参照できる材料も多くなります。ただし、材料の量と回答に挙がる会社の関係は、AIの種類や質問の内容によっても変わります。一定の傾向があると断定できる段階ではありません。
年間の施工棟数が数棟の地域密着の工務店は、ネット上の情報が少ないことがあります。気密測定の結果を毎回出していても、現場の施工が丁寧でも、それがネット上に文章として公開されていなければAIが参照できる材料にはなりません。
AIが名前を挙げなかったから、その会社の家づくりが劣るわけではない。逆に、名前が挙がったから良い家とも限らない。ここを切り分けておかないと、判断の材料が「ネット上の情報量」にすり替わるおそれがあります。
古い情報や、事実と違う内容が混ざることもある
「AIはよく嘘を吐く」と言ったりしますが、AIに騙す意図や悪意があるわけではないので「嘘」とは少し違います。
生成AIには、事実と違う内容をもっともらしく書いてしまう性質があります。「ハルシネーション」と呼ばれる現象です。補助金の金額や条件のように年度で変わる情報、会社の施工エリアや商品ラインナップのように変わりやすい情報は特に注意が必要です。
答えが変わる、聞き方の工夫
先に自分の「条件」を渡す
悪い例は冒頭の質問です。条件がないので、誰にでも当てはまる答えしか返ってきません。
奈良市・生駒市周辺で、土地ありで建て替えを考えています。夫婦と子ども2人の4人家族、建物の予算は3,000万円台です。気密・断熱性能と耐震性を優先したいと思っています。この条件で、住宅会社を選ぶときに確認すべき点を教えてください。
渡す条件は、エリア、予算、家族構成、優先順位の4つ。なかでも効くのは優先順位です。「全部大事」のままだと、AIの答えも総花的になります。
会社名より先に「選ぶ基準」を作らせる
いきなり会社名を聞くと、ネット上の情報量に答えが左右されるかもしれません。順番を入れ替えて、先に基準を作らせてください。
高気密・高断熱の家を建てたいとき、住宅会社に確認すべき性能の項目と、その数値の見方を教えてください。
たとえば次のような項目が返ってきます。
- C値(隙間相当面積):値が小さいほど家の隙間が少ない。設計図からは出せず、建物が完成してから気密測定をして初めて分かる
- UA値(外皮平均熱貫流率):値が小さいほど、家から熱が逃げにくい
- 耐震等級:1〜3の3段階で、等級3が最高
- 保証・点検の内容:期間と、無償になる範囲
ここで知っておきたいのが、現在の省エネ基準にC値の基準値はないことです。「C値1.0以下」といった目標は各社が自主的に決めたもので、測定するかどうか、結果を公開するかどうかも会社によって違います。
自分の中に基準ができれば、ネット上での見え方に判断を左右されにくくなります。会社名を聞くのは、そのあとです。
情報源を書かせて、分からない項目は「確認できず」にさせる
回答には情報源のURLを付けてください。確認できなかった項目は推測で埋めず、「確認できず」と書いてください。
この一文を足すと、公式サイトに書かれている情報と、口コミやブログの情報が分かれて出てきます。どこまでが会社自身が出す情報で、どこからが第三者の声なのか。
示されたURLは自分で開いて確認してください。リンク先に該当の記載がない場合もあります。検索機能がオフの状態では、情報源を出せないこともあります。
向き・不向きと、確認しておきたい点も聞く
会社名が絞られて出てきたら。
この会社の特徴と、向いている人・向いていない人の傾向、契約前に確認しておきたい点を挙げてください。
長所の説明だけで終わらせず、向き不向きも一緒に聞いておきます。
出てくる内容がそのまま正しいとは限りません。それでも、「施工は自社の職人か、下請けか」「標準仕様に含まれない工事は何か」のように、契約前に自分で質問すべき項目の候補が拾えます。候補を集める用途と割り切って使ってください。
複数の会社は、同じ項目の表にして比べる
複数の会社を一度に聞くと、会社ごとに書かれる項目がバラバラになり、比べにくくなります。項目を指定して表にさせるほうが確実です。
A社とB社について、次の項目を同じ形式の表にしてください。C値の実測値の公開有無、UA値、耐震等級3の取得実績、保証期間、施工エリア。分からない欄は「確認できず」にしてください。
「確認できず」が並ぶ会社は、AIが探せなかっただけの場合と、会社が情報を公開していない場合があります。どちらなのかは、会社に直接聞かないと分かりません。
AIの答えを、住宅会社に持っていく
AIで集めた候補と質問リストは、打ち合わせにそのまま持っていきましょう。AIで整理した質問を、住宅会社の担当者に聞いてみる。ここから先は、AIにできない作業です。
最後に、入力する情報の扱いです。氏名、住所、電話番号、見積書の中身といった個人情報は入力しないのが無難です。サービスによっては、入力内容がAIの学習に使われる設定があります。使う前に設定を確認してください。
AIは候補を広げる作業と、質問を整理する作業が得意です。契約する会社を決めるのは、実際に会って、建物を見て、数字を見せてもらったあとです。
