リビングの内装
BLOG

AIで家づくりの要望を整理する方法|設計者に伝わる形にまとめるコツ

2026/10/23

間取りの打ち合わせで、「どんな暮らしをしたいですか」と聞かれて、うまく言葉にできる自信はありますか?
イメージはなんとなく頭の中にあるのに、整理して説明できない。家族で意見が食い違っていて、まとまっていない。
そんな状態で打ち合わせに臨むと、時間の多くが「何をしたいのかを探す作業」に使われます。

そうなると、打ち合わせの時間や回数が想像以上に増えることになります。
でも、なかなか十分な時間を確保できない場合もありますよね。

ここでAIが使えます。
ただし、AIに間取り図を描かせる話ではありません。家族の要望を整理して、設計者に渡せる形にする。この使い方です。

AIに任せること、設計者に任せること

間取りそのものをAIに作らせる使い方は、おすすめしません。理由は、一般的に使われている生成AIでは、まだ間取りを作るツールとしては不十分だからです。(この進歩スピードなら、時間の問題かも。)

柱や耐力壁の位置といった構造の条件、採光や階段の寸法といった建築基準法の条件、断熱・気密を保てる納まり。これらを満たした図面は、敷地の形や方位、予算まで含めて考える設計者の仕事です。
AIが出した間取り図は、見た目が整っていても、寸法が合っていないことがあります。実際にAIに描かせた例は、記事の最後に載せています。

一方で、要望の整理はAIが力を発揮しやすい作業です。バラバラな要望をグループに分ける。検討し忘れている項目を挙げる。いずれも「正解を出す」作業ではなく、「考える材料を揃える」作業です。

家族の要望を整理するときの聞き方

家族それぞれの要望を、そのまま全部書き出す

一度で整理しようとしなくて大丈夫です。まずは家族一人ひとりに、思いつくままに書き出してもらいます。

たとえばご主人は「書斎がほしい、車2台分の駐車スペース」、奥様は「キッチンから洗濯物を干す場所が近い、収納は多めに」、子ども達は「自分の部屋がほしい」。こんな具合に、箇条書きで十分です。

書き出したものを、そのままそれぞれの要望としてAIに渡します。

以下は家族4人の、新築に対する要望です。重複しているものはまとめて、「必須」「できれば」「なくてもよい」の3つに分けてください。分けた理由も添えてください。
(要望を箇条書き)

AIの分類は、あくまで叩き台です。何が必須で何が妥協できるかは、家族の事情で決まります。AIの案に納得がいかない項目は、そこが家族でまだ意見が割れている部分です。話し合うべき論点が、見える形で出てきます。

1日の生活の動きを文章にしてAIに渡してみる

間取りの打ち合わせでは「LDKは何畳」「収納はどこに」といった話になりがちです。実際の暮らしでは、「朝の7時台に誰がどこで何をするか」の方が、住み心地を左右することがあります。

平日の朝を、時間順に文章で書いて渡します。

平日朝の6時半から8時までの家族の動きを書きます。動線が重なる場面を指摘してください。

たとえば、洗面所が1か所しかない前提で、夫婦と子ども2人が7時台に集中する、というような課題が見つかります。洗面台を増やすのか、洗面とトイレを分けるのか、動線を変えるのか。解決策を考えるのは設計者です。「朝の洗面が混みそう」と課題を伝えておくと、設計者の提案の幅が広がります。

検討が漏れやすい項目を、確認させる

要望のリストができたら、足りないものがないかをAIに聞きます。

この要望リストで、新築の間取りを考えるときに検討が漏れやすい項目を挙げてください。

出てくる候補の例は、次のようなものです。

  • 玄関まわりの収納(ベビーカー、アウトドア用品、自転車の置き場)
  • 洗濯の動線(洗う、干す、しまうの距離)
  • ゴミの一時置き場
  • 在宅ワークをするときの場所と、通信環境
  • 子どもが成長したときの部屋の使い方

全部を取り入れる必要はありません。「そういえば考えていなかった」と気づく項目が1つでもあれば意味はあります。

整理した内容を、設計者に渡す1枚にまとめる

最後に、設計者向けのメモにします。

ここまでの内容を、設計者に渡すA4一枚のメモにしてください。見出しは、家族構成、敷地と予算の前提、必須条件、できれば叶えたいこと、1日の動きの課題、わからない点、にしてください。

最後の「わからない点」もあった方が良いです。設計者に聞きたいことが、打ち合わせの前に見えてくるからです。

注意点として、入力する内容に住所や氏名などの個人情報は含めないでください。敷地の場所は「奈良市内」「南側が道路」程度にとどめるのが無難です。

渡すときに気をつけたいこと

AIが整えたメモは、入力された情報の範囲でしか整理できません。家族の個別の事情や、土地の条件、家に対する思い入れまでは知りません。メモは完成品ではなく、会話の出発点です。

要望を全部詰め込むと予算や面積に収まらなくなります。延床面積が大きくなれば建築費も上がります。予算と希望する広さの目安はメモの最初に書いておいてください。設計者は、その範囲の中で要望に優先順位をつけながら案を考えます。

もうひとつ。メモの要望をそのまま実現する案だけが答えではありません。「書斎がほしい」という要望に、書斎の代わりにリビングの一角のワークスペースを提案される場合もあります。要望の裏にある「集中して作業できる場所がほしい」という目的が伝われば、設計者は別の方法も検討できます。

おまけ:ChatGPTとGeminiに、同じ要望で間取りとパースを作らせてみました

AIに要望を伝えて、間取図と外観パースを生成しようとするとどうなるのか。
ChatGPTとGeminiで試しました。誰でも使えるものとして、無料のモデルを使用しています。

条件は、
敷地12m×13m(南側が道路)、延床30坪前後の4LDK、夫婦と子ども2人。必須条件として、駐車2台、LDK18畳以上、ワークスペース3畳、玄関の収納などを入れています。実在の家族や敷地ではなく、検証用の想定です。同じ要望文を入れ、生成は1回だけ。やり直しや修正はしていません。

ChatGPTの結果

AIで生成した間取り
ChatGPTが作成した間取り図
AIで生成した外観パース
ChatGPTが作成した外観パース

Geminiの結果

AIで生成した間取り
Geminiが作成した間取り図
AIで生成した外観パース
Geminiが作成した外観パース

パースは、どちらも写真のようにきれいに仕上がりました。外観の好みを設計者に伝える材料としては、十分に使えそうです。ただし、パースと間取り図の間で整合性は取れていません。

間取りは、差が出ました。ChatGPTの図は、家具や方位、面積表までついた図面風で、一見するとちゃんとした図面のようです。しかしよく見ると間取りとしては、破綻している部分がいくつもあります。Geminiの図は、色分けしたブロック状の図です。間取りというより、部屋の大まかな配置を示すゾーニングのレベルです。要望の必須条件は、どちらの図にもほぼ反映されていました。

「それらしく見える」ことと、「建てられる」ことは別です。ChatGPTの図も、構造や法規の確認はされておらず、間取りとしてはおかしい部分も多いので実際の間取りとして使えるレベルではありません。

AIは、要望を整理して設計者に渡すところまでは、十分に手伝ってくれます。その先の図面は、設計者が敷地や法規を確認しながら作るものです。AIが整えた要望メモは、設計者に渡して打ち合わせの出発点にしてください。

まずは無料で相談したい方はこちら